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製造業が国を救う―技術立国・日本は必ず繁栄する


製造業が国を救う―技術立国・日本は必ず繁栄する
製造業が国を救う―技術立国・日本は必ず繁栄する
エーモン フィングルトン, Eamonn Fingleton, 中村 仁美
早川書房  定価1995円(税込)

 題名を読まれた方は、さて唐津一氏の著書かと思われただろう。ところが塾長が泣いて喜ぶ主題を、綿密なデータと冷徹な視点で、いま絶対的な評価と実際にアメリカの繁栄を担っているIT(インフォメーション・テクノロジー)のソフトウエアと対比しながら、日本的な技術(ハードウエア)に大きく軍配を上げるのが日本在住の経済ジャーナリストの筆者である。

 アルビン・トフラーは「第三の波」でポスト工業化社会としての「情報化社会」到来を予言し、また「パワーシフト」でもパラダイムシフトとして情報化社会のありように明確な視座を提供した。そしてアメリカは90年代まさにその予言を地で行って、10年に及ぶ繁栄を勝ち取り、一方の日本はバブル崩壊後10年も呻吟を続けている。トフラーすら日本の敗北を認めているのだ。ではなぜそれでも日本の技術が繁栄するのか?
 氏はアメリカの好調には3つの落とし穴があるという。それは「雇用バラン スの悪さ・所得の伸びの悪さ・輸出競争力が弱い」ことである。

 アメリカを支える情報産業はマイクロソフト・インテル、それに続くソフト産業である。こうした企業が求めるのはいわゆる知的労働者で、一般の労働者は低賃金でパート比率の高いサービス業にしか進めず、賃金格差は拡大する一方で、ホームレスは500万人(総人口比2%)に達するという説まである。
 またソフトウエアは海外ではすべてその国の言語に改定する必要が有り、コストが掛かる上海賊版の横行も大きな損失を招来する。

 また過熱した情報関連企業株価はまさにバブルで「ヤフー」1株1億円などというように、投資・投機という不労所得にうつつを抜かす現状は、まさに『虚業』という側面を見せつけている。

 こうしたアメリカの状況に目をつけた国々、たとえばインド・中国などが「ソフト立国」として名乗りを上げ、アメリカの成果を横取りしている。 一方の日本は(まだまだ緒についたばかりだが)新しい情報関連ハードウエアに目覚ましい成果を挙げようとしている。規制緩和が生んだ携帯電話は(非音声型通信機能など)モバイルツールの可能性を確立してきたし、ナビゲーションシステム・デジタルカメラ・DVD、それに今後ゲームマシーンの新しい展開分野の可能性も洋々たるものがある。また日本の得意分野であるエレクトロニクス関連素材産業・省力・省エネ産業も日本経済の底上げに貢献するだろう。 長引く不況は確かに企業の投資意欲を減退させ、設備の償却・更新が遅れた事実もある。特にオールラウンド型マンモス企業の苦悩は大きいが、今着実に集約化・リストラ化を進めている現状である。
 氏はそうした情報関連ハードウエア産業だけでなく、いわゆる従来型工業、例えば繊維・製鉄・造船産業などが復活を果たし巨大な投資を生みはじめていることも指摘している。

 そして新しい技術産業として「(化石燃料に代わる)新エネルギー産業・新交通システム・遺伝子産業」などを挙げ、そうした新技術は日本のみならず第3国で圧倒的な需要を生むだろうと予測している。
 氏はかくしてポスト工業化社会の誤謬を徹底的にあばき、21世紀こそ再び日本の技術の時代を高らかに謳う。

 考えてみれば、これだけ不況といわれながら(アメリカの経済を支えるため?に)ゼロ金利を継続し、それでも円高傾向を謂れ、対アメリカ貿易黒字を増え続けさせている日本、悲観論大合唱の裏側の『日本恐るべし!』こそ真の日本の姿ではあるまいか。

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