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不眠症候群
不眠症は本当につらい。大きくわけて寝付きが極端に悪いタイプと、夜間目が覚めるともう眠れないというタイプに別れるようだが、私の場合は、なにしろなかなか眠付かれない、眠りが浅く夜間目が覚めると目がパッチリ。朝方眠くなって九時過ぎまで起きられない。だから日中は無性に体がだるい。
加えて私の場合は、もう二つ睡眠を妨げる厄介なことがある。一つは夜間頻尿でもう一つは口渇=ドライマウスである。尿意を催しては目が覚め、口がカラカラになっては目が覚める。それに(日中ほどではないが)咳や痰が加わるとなると、もうまさに不眠症候群の四重奏である。
おっともう一つあった。夢である。眠ると必ず夢を見る。いつもワンパターンでどこか変なところに行って帰るというストーリーだが、いつも帰りは迷路に近いところに迷い込むというという設定で、いつも天才的で創意に満ちた夢の発想力には我ながら感心するばかりである。また尿意を催したら必死にトイレを探すのだが、やっと見つけたのは、文字通り「ご不浄」である。しかも夢だから、出しても出して出切れない。
不眠の理由は主治医に尋ねてもはっきりしない。理由のわからない病気は、だいたい自律神経失調症ということで片付けられる。睡眠導入剤をくれるのが精一杯である。
夜間頻尿も自律神経失調症だと言われたが、このドライマウスは、昔(ステロイド離脱が目的で半年以上続けながら結局挫折した)玄米食で、一口二百回も咀嚼したことが原因だと頑なに思いこんでいるのだが、とすると私の不眠症症候群はまさに筋金入りである。
ベッドに入るのは八時過ぎだから比較的早いが、ベッドの中で読書をしたりテレビを見たりして、早ければ十時前、遅ければ十二時前に一応就寝状態に入る。本は面白くて止まらないような小説は極力避けて、眠りを誘うような固いものを選んでいるが、テレビの方はそうはいかない。特に面白い番組とか映画など興に乗って終わりまで見ると、睡眠薬などなんの役にも立たず、もうすっかり眠れなくなって、ひどい時は三?四時ころまで目はパッチリである。
枕もとには、目覚めたときに一晩二?三回の規定回数使用するステロイド吸入祭と、気管支を拡げる吸入剤、そのあと含嗽するためと、口の乾きをやわらげるため水が置いてある。ベッドの下には例のシビンを置いていて、一晩に何度ともなくお世話になる。決して尾篭だというなかれ。もし皆さんが私の同じ症状になったときには、その有難さに涙をこぼすに違いない。シビンのお世話になりにくい頻尿で不眠の女性は本当に気の毒である。
いささか余談になるが、某紙の書評欄で紹介されていた「心臓を移植された人に、ドナーの意識も移植される」というショッキングな事実に触れた、西原克成先生の「内臓がつくった心」を読むチャンスが合った。内容は動物の進化にかかわる学術的な部分と、そうした事実から、心臓や脳すら本来生きる=食べるという仕組みの中心である腸から作られたのであって、「心は決して脳にあるのでなく内臓にあるのだ」という理論を述べられた書である。
実は西原先生は口腔外科の臨床医でもある。先生はこの本の中で、その豊富な経験から、私たちの病気とくに近代医学から見放されている感のある||たとえば喘息・アトピー・ジンマシンなどの||「自己免疫性疾患」を引き起こしている要因として、次のような習慣と事例、それに治療例も挙げていらっしゃる。
曰く「口呼吸・歯周病・片噛み・噛み合わせ異常・横向き睡眠・冷たいもの中毒・骨休め不足…」詳しくは省略するが、思い当たるところが多い。
私の場合、なんとかそうした悪い癖や病気がなかったのだが、同書の中に不眠の一因として、枕のことが書いてあった。先生が説くには「弾力がなくて頭の重みで自然に一センチメートルくらいになる羽毛枕が最適だ」ということである。それにもう一つ「口呼吸もドライマウスの原因(の一つ)」というものもあった。
せっかく少し前に、通信販売で安眠出来るという枕を買ったばかりだったが、さらさら効果がなかったこともあって、インターネットで先生のサイトを見つけて、早速枕とブレストレーナーというマウスピースを買ってみた。
枕はたしかに大きな効果があった。寝付きが劇的によくなったのである。
一方ドライマウスの方だが、またまたドライマウスをホームページで検索して見ると、これがなかなか複雑である。私の場合は夜間に限っての症状だから、とくに難しい病気ではないようだが、私自身「玄米食が原因」と思いこんでいたのだが、ここでも私が連用している気管支喘息の薬や抗ヒスタミン剤も原因の一つだとあった。
実はこのシリコンゴム出来たマウスピースは、オーダーメイドでないため多少の違和感があるがなかなかのすぐれもので、使用法通りに装着するだけで口呼吸は出来なくなる上、唾を飲み込むと口の中が陰圧になる。慣れるとそんなに違和感もない。 これでイビキや歯軋りそして睡眠時無呼吸症が解消されるとしたらもう安いものである。私のドライマウスも装着しないよりは軽くすむようだ。
結局わが不眠症候群、きれいに解決したわけではないが、まあ慾は言えない。ちょっとした改善でもそれなりに評価しないと罰が当たる。
さてそこで、「もし健康な人が私と同じような不眠症候群になったとしたら、はたして平気で耐えられるだろうか?」と考えたのだが、想像するところ、多分多くの人は不眠のストレスですっかり参ってしまうのではないだろうか。当たってませんか?
だとなると、案外私は強者なのだろうか?

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